第11話

私はすごく面白かったです。シムーンシヴィラを見る、あの世界の「関係外の人」の目線を初めて知ることができたから。ああ、このアニメを観ている私たちにとって、シムーンシヴィラの子たちの中の人間関係やアレやコレやが色々アレでアレだけれども、彼ら一般兵(?)にとって、彼女達はなんだかんだ言って巫女であり、特別なものなんだなーと。シムーンシヴィラに近すぎるところにあった目線をぐぐっと俯瞰的なものに持っていかれたように感じました。
それが端的に現れていたと感じたのは、フロエと彼の関係の描写よりも、一般兵たちと同乗することや、兵の輸送の任務のためにシムーンに変なのくっつけられる程度のことを「穢される」と称したシムーンシヴィラの子たちの世界の狭さよ、というところでした。そこが見えているのは、縦ロールだけなんでしょう、たぶん。つい先日の審問会までブイブイだったネビリルでさえ、そこまではわかっていない。所詮は選ばれし者たちのリーダーなわけです。
それでもって、その上であえて一般兵に「これ以上シムーンシヴィラを穢させるな!」と言わせる、そのへんの物語としての構成の残酷さ。圧倒的な断絶にも似たものを感じました。
フロエと彼を観ていてやっと一つの謎が解けたという部分もあって、それは「泉に行く前の少女たちは『少女』なのか『子ども(性差がない)』なのか」という謎なのですけれども。これではっきりと、泉に行く前は全員が少女であるのだ、ということがわかりましたね。割と気にかかっていたことなので、すっきりです。
つまり、あの彼は、少女であり続ける選択肢を与えられるまでもなく泉に行き男性にならざるをえなかった、かつての少女なわけです。それがフロエに頬を赤らめ、一般兵として戦い、シムーンシヴィラの圧倒的な強さに

あれは…シムーンは悪魔だ

と言わせてしまう。掘り下げるべき部分なんだろうなー。
おじさんの声がおばさん、というのが今回はわかりやすくて良かったです。声がおじさんだったら、元々は全員が少女なんだってことを忘れちゃうだろうし、観ていて意識し続けることは難しいだろうから、きもいけど効果的。
あと気になったことは、物語の本筋には関係ないというか、気にするべき部分ではないのかもしれないのですが。あの奇襲作戦、なぜ最初からシムーンシヴィラも攻撃に加えて考えておかなかったのか、という疑問です。事前に察知されていなかったとして、あの歩兵(?)たちだけで本当に成功できたのか、と問いたい。街を破壊したくはなかったから、リマージョンで戦うシムーンシヴィラを攻撃に参加させたくなかったとか、巫女を直接的な戦闘に加えることにはやはり抵抗があるとか、まぁあるんでしょうけれども。
フロエと彼の関係性の鬱展開だとか、人を殺すということをリアルには認識していなかったらしきセリフとか、細かな鬱要素も気にならないではないけれども、とりあえず殴り書き終了。